ライターの炎だけで空が飛べるというエネルギー節約熱気球。定員2名だからとド◯えもんをおろして静香ちゃんと二人で飛んで行ってしまったのび太くん。ライターのガスがきれかかり、少しずつ自分たちのきていた服を燃やして帰ってきた。帰り着いた頃には二人とも全部燃やしてしまって真っ裸となっていたのだった。

「だからいやだといったのに!」
 困ってしまったのはそれからだ。到着したのはいつも遊んでいるあの空き地だったから。のび太はドラえ◯んと一緒に帰れるが、静香は一人だ。いや、一緒にきてと頼めばのび太のことだ来てくれるだろう。しかし、その間ずっと自分の全裸を見られてしまうことになる。それはとても耐えられなかった。
 二人と別れた静香はゆっくりと自分の家の方角へ歩き出した。夜の風が普段は当たることのない場所へ当たる。
「恐い……。」
ソロソロと足を進めるが、いつ誰と会うか分からない。キョロキョロと辺りを見渡しながら歩きつづける。一番困るのは曲がり角だ。その先に誰か歩いているかもしれない。様子を見たいのだが、だいたいそこには街灯があってとても明るいのだ。街灯の光の中へ入ることなど静香にできるわけはなかった。少し危険だが、遠まきにかどの向こうを確認する。誰もいない……。急いでそこを走り抜ける静香。しかし、その後静香に大変なことが降りかかる。
 次の角を確認しようとした時、明らかに聞き覚えのある声が聞こえてきた。担任の先生だ。誰かと携帯で話しているようだ。逃げなくては! しかし逃げるとなると今必死に歩いてきた道を戻ることになる。だが見つかっては身の破滅だ。先生には優等生として信頼もされている。それが壊れてしまうだけではなく、問題児として見られてしまうことにもなるだろう。
「のび太さんのせいだからね……。」
そんなこと思ってみてもしかたない。この危機が去るわけではないのだから。
 ふと目を凝らすと街灯の光の中にある塀の隙間に隠れることができそうだ。必死でその間に滑り込む。入りこむ瞬間光に自分の肌が照らされる。隙間に入って座り込みたかったが、狭くてとても無理だ。壁に乳首がこすれヒリヒリしたが、何とか隠れることはできた。
「お願い、こっち見ないで……」
祈るような思いで通り過ぎるのを待った。幸い先生は電話で話しながら通り過ぎていった。しかし、すぐに出るわけにはいかない。しばらくその場で様子をうかがうことにした。
 静香は昼のことを考えていた。熱気球に乗って空をゆったりと飛んでいる時はまさかこんな目に遭うとは思ってもいなかった。なぜもっと早く帰ろうと言わなかったのだろう。いや、言ったところで調子に乗ったのび太が帰ろうとはしなかっただろう。あぁ、どうして……。いや、後悔はまず無事に帰ってからだ。再び気持ちをふるいたて帰路についた。
 いよいよ最後の四つ角だ。そこを左に曲がればもう自分の家が目の前に。そこで静香はちょっと油断をしてしまった。もう帰れると思ってつい勢いよく道に出たところに一台の車がせまってきていた。しかも、静香の家の方からきている。何ということだろう。このまま家に向かって進めば確実にすれ違うことになる。考えるより先に体が動いていた。曲がるはずの角を直進し、少しでも遠くに、ただ走った。先ほどまでは胸やあそこを手で隠しながら進んでいたが、今はそんなこと考えてはいられない。あられもない姿で、恥ずかしいかしょをさらしたまま走った。どうやら車は追いかけてはこなかった。辺りを見ると目の前にはいつも通っている静香の学校があった。
「あたし…… こんな姿で学校に来ちゃった……」
いつもの風景を思い浮かべながら、自分がどれだけ恥ずかしい姿でいるのか実感する。校門に触れるとあたり前のことだが鍵が閉まっていて入れない。改めて帰路につこうという時、静香にふとある思いがよぎった。
「裏山に行ってみようかしら」

(続く)